2016年10月17日

美術教育学会(滋賀大会) 自分の発表 その5

鑑賞授業の中で自分が行う発問を4つに分類する・・・今日はその2つ目のタイプ
発表3.JPG

生徒とのやり取りの中で発問自体が生まれてくるようなやりかたです。
今度は「クリスティーナの世界」での授業の様子で例を示します。
Christinas-World-1949.jpg
前回の発問でもし季節のことが話題に上がっていなかったとしたら
「季節はいつだと思う?」
「ふ〜ん A君は秋だと思うの。どうしてそう思ったのか言ってくれる?」
「なるほど、草原の色・・・そういう理由か」
「A君はこう言っているけど他の人はどう思う?」
「へ〜え Bさんは夏だと思うの。なぜ?」
「女性の服が半袖だからって?なるほど。よく観察していますねえ」

・・・・という風に進めます。
たまたまこのクラスでは季節のことが話題に上がってなかったので例のようになりましたが、当然他のクラスでは違う展開になっていたかもしれません。
「作者のワイエスって、どんな性格だと思う?」とか「登場している女性は何歳くらい?職業は?」などなど絵の解釈を前に進める発問を生徒の様子を見ながら必要に応じて繰り出し、返答の根拠をたずね、他の生徒にも問いかけます。

整理して書くと・・・
@発問の種類
・全体を対象としたOpenQuestionと個人へのOpenQuestionの組み合わせ
A授業にとっての役割
・作品全体の解釈に必要だが、初発問で言及されていない事項の補完
・意見の組み合わせで当該クラスの解釈を一歩前に進める。
B生徒にとってのHiddenCurriculum
・根拠を自己に問い返して思考する。
・級友の意見との比較で思考するようになる。


◆ご存知の通りこの活動も「対話による鑑賞」としてすでに認知されてきたやりかたです。私の授業では2種類目の活動という位置づけですが「対話による鑑賞」では、この部分が最も重視されているような印象を持っています。(対話している場面なのだから当たり前ですが)だから「対話による鑑賞」では十分な対話が深められたらここで終わって次の作品に移る場合があります。

VTSで重視されているのもここではないでしょうか。「対話による鑑賞」が発問の1と2で構成されているとすれば、VTSはこの発問2だけで構成されていて、この部分を洗練させた印象を持っています。(間違っていたら誰か訂正してください)

◆中学校1、2年生で授業をする場合、このやり取りを深めるところまで来るのに時間がかかって、そろそろ授業も終盤に差し掛かる時があります。先生が答えを教えてくれる授業じゃないってことや自分で解釈しても良いんだってこと、友達の意見が自分のと違っても良いってことなどに気づくだけでも大したものなので、そこを主眼に授業をするなら「ここで終わるのも良し」って思っています。

しかし、1,2年でこういう活動を経た3年生なら、授業の中盤でここまで来れます
「それならもっと深いところまで行こうじゃないか」
・・・ということで用意したのが次回に紹介する3つ目と4つ目の種類の活動ということになるわけです。


posted by kazyhazy at 23:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 学会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月16日

美術教育学会(滋賀大会) 自分の発表 その4

そういえば発表時のタイトルもまだここには書いてなかったですね。
ちょっとカタいのですが・・・・
発表1.JPG
中学校美術Q&Aを命名したときのようなキレはないですね。
もうこのころは、も〜うほんっと色々な原稿の締め切りが重なっていた時期で、きっと余裕がなかったのでしょう(笑)

タイトルのあとは
これまでのブログで書いたような鑑賞ガイドブック101から選んだ作品で授業をしたことや、違った切り口で分析することや、中3ならではの鑑賞授業を目指していることなどを説明して・・・一つ目の発問の紹介に入ります。
発表2.JPG
対話による鑑賞をベースにしていますので、ひとつめはほぼ必ずこの発問から始めています。
「東京オリンピック」の場合なら・・・・
●走っている人が居る●色々な国の人だ●背景が暗い●ユニフォームが・・・●五輪のマークが・・・などなどたくさん手が上がって色々な発見が期待できる発問です。

この発問について少し詳しく考察してみると・・・・・
@発問の種類
・集団全体を対象としたOpenQuestion
A授業にとっての役割
・対話を進めていくための情報共有
・発見を公開・共有することで全員を作品解釈の同じ土俵にのせる。
 (これをしておかないと後半で話し合いに齟齬が起こる)
B生徒にとってのHiddenCurriculum(教師が意図するしないに関わらず及ぼされる生徒への影響)
・発言し易い問いに対する、知らず知らずアイスブレイクの効果
・教師の考えや歴史的評価を当てる授業ではなく、
 自分たちの考えが作品の解釈を作るということを感じとる

・・・・という風に、授業でやったことを(どういう発問をして進めたかを)紹介しながら、同時にその分析の方もやってしまおうという感じで話を進めました。

なお、お断りしておくと・・・
最初の発問である「何が見えていますか」に関しては、対話による鑑賞の定番ですので、この発問がもたらす効果や必要性については、すでに上野行一先生をはじめとした多くの方によって語りつくされています。ですから分析の半分以上は目新しさのない、皆さんもご存知のことです。

でも、こうやって発問の機能を列記していくと、この発問がいかに偉大な珠玉の発問であるかわかります。
私見ですが、この発問で始めなくてまともな鑑賞の授業なんてできるのか?
・・・・・なんてことも思ったりしていることを学会当日も言いながら一つ目の発問に関する発表を終えたという訳です。
posted by kazyhazy at 20:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 学会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月15日

美術教育学会(滋賀大会) 自分の発表 その3

自分の授業を振り返ってみると、授業での発問(課題)はどうやら4種類に分けられるようだと書きましたが、どういう4つなのかというと
◆一つ目は何が描かれていますか?
絵画以外なら「何が見えていますか?」「何がありますか」と言い換えるオープンクエスチョンです。
◆二つ目は生徒とのやり取りで生まれる。
生徒の発言に対して「どうしてそう思ったの?」とか「彼はこう言ってうるけど他の人はどう?」というようなやり取りをするわけですが、場の雰囲気や反応に応じたやり取りなので決まった形はありません。
◆三つ目になぜかクローズドクエスチョン
これまでの二つがオープンクエスチョンで生徒自身の解釈を促しているのに、なぜか後半にクローズドクエスチョンを併用する場合があります。これは研究テーマの「中学3年生ならではの鑑賞を目指す」というのと関係があります。
◆四つ目をあえていうならディープクエスチョン
こんな用語はないんですが、自分への戒めとしてこの言葉を使って、この言葉にふさわしい発問で深められるよう模索しているところです。
IMG_0304.jpg

学会当日は初任者Yさんも参加していたので、案内したり他の人の発表を聞きに行ったりしているうちに、いよいよ自分が発表する番がきました。

同じ会場で、私の前に発表していたのはマッキーこと牧井先生
大きな屏風のレプリカを持ち込んでの発表ですから、発表後にまたそれらを畳んで持ち出さなければいけないのが大変そうです。
なかなか大掛かりな発表の後なので、自分の発表ってちょっと内省的すぎるかな?なんてことを考えたりもしました。
だって、自分の授業の発問の仕方を4つに分類して分析するってんですから、マッキー先生に比べると地味なことこの上ないですよね(笑)。

そうして演台に立つと、前回書いた通り座席に松岡先生と泉谷先生が、よりにもよって一番前の席にいるのが目に入ったという訳です。

さあ発表という直前まで来ましたが、今日はここまで。
一つ目のオープンクエスチョンまでいけるかな?と思っていたのですが、それは次回に。
posted by kazyhazy at 21:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 学会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月14日

美術教育学会(滋賀大会) 自分の発表 その2

◆中1との差異を試行した中学三年生対象の実践紹介
◆授業の構造や発問に関する機能分析的な意義の再確認

・・・という発表の方針を2つ決めた訳ですが、
もう少し詳しく書きますね。
まず扱った作品は以下の二つです。
鑑賞ガイドブック日本美術101から「東京オリンピック1964」亀倉雄策
鑑賞ガイドブック西洋美術101から「クリスティーナの世界」アンドリューワイエス
1964olympics1.jpg
余談ですが、このガイドブックで「東京オリンピック」を執筆しておられた関西国際大学の松岡先生と「クリスティーナの世界」を執筆しておられた岡山大学の泉谷先生が、私の発表の時にお二人とも客席におられるのを見て目眩がしそうでした(笑)

さてこの二つは、ともに何度か中学3年生の授業で扱った作品です。この二つの実践内容を紹介しながら、中学3年生にふさわしい「深み」が生まれるように、どのように工夫をしたのかを紹介するのが方針のまずひとつ
実践を二つも用意しなくても良いのではないか?
と思われるかもしれませんが、二つあるからこそ共通する部分や比較する部分が紹介できます。
一発ヒットした良い実践の紹介を狙っているわけではないということです。

さてその共通項ですが、自分の授業を振り返ってみると、私の授業での発問(課題)はどうやら4種類に分けられるようなのです。
その4つをそれぞれ分析し、なぜその発問が必要なのかについて意義や効果を紹介するのが方針のふたつめです
鑑賞授業の実践発表というのは世の中にたくさんあると思うのですが、せっかくワザワザ発表するのだから通り一遍の紹介には終わらせないようにしようというモクロミです。

次回からその4つをひとつずつ紹介していきたいと思います。
posted by kazyhazy at 22:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 学会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月13日

美術教育学会(滋賀大会)自分の発表 その1

夏に終了した学会ですが、
前回紹介したように会報も発行され
近い内に学会誌も出るだろうし
そろそろ良いかな?という感じで自分の発表について書こうかと思います。
IMG_0283-(1).jpg
学会誌にダイジェストも出るし、自分の発表なんだから好きにしても良いように思っていたのですが、あまりに近い時期に書いちゃうのもどうかと思って無用の遠慮をしておりました。
私が発表したのは中学校での「鑑賞」の授業についてです。

はるか昔ですが、鑑賞ガイドブックの日本美術101と西洋美術101が出たころ、2008年頃でしょうか、大学の新関先生からこの本を使って授業を提供してほしいというお話がありました。
さらにカメラが入って授業の様子が録画され、次に出る実践紹介本の付録DVDに入る予定でした。
kanshou101.jpg
映像スタッフが教室に入ってきても良いかという許可を校長にもらって次の年!拠点校指導員になった私は、なんと授業がゼロになってしまったのでした(笑)
撮影の企画は頓挫したのですが、授業計画だけは残ります。翌年に授業へ戻ってきた私は、やろうと思っていた授業を実践し、数年にわたって改良、研究してきたのでした。

さらに撮影依頼があった当時、新関先生にこんな注文も受けていました。
「対話による鑑賞をする人に多いんだけど、中学1年生相手にやる鑑賞の授業と中学3年生相手にやる鑑賞の授業が、ほとんど同じなのが気になる。対話による鑑賞の紹介本に書いてある通りに発問するから、学年が違うのに同じようになるのかな?あれを何とかしたいなあ。中3だったらもっと深いところまで連れて行ってほしいなあ」
という言葉がずっと頭に引っかかっておりました。

・・・ということで私は
◆授業の構造や発問に関する機能分析的な意義の再確認と
◆中1との差異を試行した中学三年生対象の実践紹介

という2つのテーマで発表することにしたわけです。
posted by kazyhazy at 19:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 学会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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