2016年07月15日

美術部の顧問(15)

今は保護者懇の真っ最中ですので午前中授業です。
ですから生徒たちは午後に部活三昧です。
美術部員も夏の展覧会に向けてラストスパートです。
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昨日までは2,3年生の作業を見ていましたが、そろそろ基礎練習ばっかりやってる1年生にも次のステップに進まなきゃと思い、黒板の前に集合させます。
黒板にワザと書いて、空欄の括弧を(  )(  )と書きます。
「後のふたつは何ですか?」と聞くと1年生はキョトン(笑)
以前に話してあるはずなのですが、まだまだ浸透していません。
ちなみに通りがかりの2年生に聞くと「ワザ・モノ・コト」と即答なので安心です。
やはり1年生を鍛えなきゃ!です。

美術部に入部するぐらいだから当然、絵の好きな子たちなんですが、何も言わないときっと「絵がうまくなりたい」という気持ちしか育たないと思い、毎年徹底している内容です。
展覧会でもやたらうまい絵に人気が集まります。それはワザしか見えてないんですが、上手だけど中身のない絵葉書の風景のように美しい絵でも「すごい〜」となってしまうのは人情です。
信じられないくらい輝く色彩の波の中をイルカが跳ねるという、美しいだけで中身スッカラカンの絵が大人に売れていたりもしますよね。(ああ、またそんな悪口を!!)
wazamonokoto.jpg
実は、いままでの基礎演習は「こんな感じになるようにこれを描きなさい」というようにコトモノを先生が指定してあったので、君たちはワザの練習だけをすればよかったのですが、これからは、自分の気持ちを見つめなおして感じたことや表したいことを見つけ出し、描くモノを自分で選べるようになってほしいと思います。
・・・・という風に話を進めました。
けど、「寿司はウマイなあと感じたコト」や「夕日ってきれいだなあと思ったコト」というのは、先生のようなオッサンにでも感じられる程度のコトや、たいていの人が同じように感じるコトということになってしまいます。
できれば13歳の時にしか感じられない、今の気持ちや若い感性を大事にしてほしいなあ。

・・・・なんて話をしているのを、だまって黙々とキャンバスに向かっている3年生たちは、絵をかきながら聞いていたんでしょうね。話が終わって1年生がコト探しを始めた時に3年生が、
「先生、私たちが1年の時より教え方がうまくなったなあ」
おいおい 上から目線なのか?(笑)


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2016年07月11日

美術部の顧問(14)

2年前にこのブログを中断したときの最後の記事が「美術部の顧問(13)」でした。ブログを再開するにあたって、これまでは「初任研」を中心とした授業作りと、先日アップした「学会関係」の2つの流れについて書きましたが、あと「美術部」のことと「自分の授業」のことがまだだったなと思い、今日は美術部の記事を再開したいと思います。

滋賀県には夏に中学校美術部展があり、頑張った学校には学校奨励賞が送られます。2年前の記事の生徒たちは、県内で断トツの学校奨励賞を得て卒業していきました。

今年も夏を前にして、美術部員たちは頑張って制作を進めています。そして毎月恒例の鑑賞会(互評会)も健在です。
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今回の出品担当は3年生。キャンバスの前で作品を見ているのは2年生です。黒板には「表現したかったこと」つまりは主題がひとりひとり書かれています。本校美術部では「コト」で通じます。
「黒板にコトを書いておいて」
というだけで分かってくれます。
ワザ・モノ・コトは合言葉ですから、表現力とモチーフと主題を混同しないで意見を言えるようにしていることはすでに書いたと思います。

だから、鑑賞会で意見を言うときも、
「○○な気持ちを表現したい(コト)のならもっとここをこういう風に描かないといけない(ワザ)と思います」という文脈になります。
それはそれでよかったのですが今回はさらに、ちょっとした思いつきを実施することにして3年生たちを「ひょエ〜」と言わしめました(笑)

というのは、この油絵はもう何か月も取り組んでいるので、お互いに「何を表現したいのか」がバレています。そこで何も知らない4月からの新入部員たちを使うことにしました。

メモと筆記具だけ持ってくるように言って、鑑賞会の前日に新入部員たちを引き連れて、3年生が描いている場所を順にまわりました。そこで、作者には何も言わせずに、1年生には「この絵はどんな場面を描いていると思いますか?」「どんな気持ちが伝わってきましたか?」と問いかけます。

一つの作品に対して「場面」と「気持ち」の2つずつメモしてねっとお願いして、3年生作品全てを回りました。

鑑賞会で1年生が「この作品の中ではこういうことが起こっていると思いました」「この作品からは登場人物のこういう気持ちが伝わりました」というたびに、自分の思惑と違う3年生たちはガックリとうなだれるのでした。じっと手を見る。(笑)

顧問による悪魔の奸計はヒットしたようで、いかに独りよがりで描いていたかがわかったようです。
これを見た2年生が「私たちの絵にもやってください」と言ってきたのには驚きましたが、効果のあるやり方だったということでしょうね。
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2014年05月22日

美術部の顧問(13)美術部に欠けているもの−2

美術部に欠けているもの・・・それは客観性であったり広い視野であったり、という話を書いていました。
実際、あれをやれ、これをやれと教師が指示したり、過渡期の美術部の状態にヤキモキするよりは、外に連れて行って、生徒自身が感じて気づいて、先に気持ちにスイッチが入れば変わるものです。

今日は(テストの関係で)少し早いけど月末の鑑賞会。
いつもどおり素晴らしい鑑賞会でした。作品の提供者の中に口の達者な子がいて、その作品の対話では腹がよじれるぐらい笑わせていただきました(笑)
鑑賞会に続いて学年別のミーティングもして、三年生は活動全体の改善点を出し合う会議。二年生は文化祭に向けたプロジェクトの始動。一年生は先輩の居ないところで顧問と悩み相談をしました。
学年別だと忌憚のない意見が出るし、一年生も何か困ったことがあれば言いやすいだろうという配慮です。

こういう雰囲気ができてきたのも、やはり外に連れて行くようになってからでしょうか。
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まだ参加したことのないアートレセンですが、同じように考えた先生方が、美術部員の横のつながりを企画してくださっています。アートレセンも、もう全国あちこちで実績を作っています。
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福井にもヤングアートキャンプという企画があって、福井県の美術部員が一堂に会し、作家を初めとした色々な人が講師となって指導するという事業を展開しておられます。
画像は、恐れ多くも「私」が講師として福井の生徒達に実技演習をしているところです。

これをお読みの顧問の先生。ウチの美術部員と交流しませんか?
よそへ見に行ってウチの部員ばかりが得をするのも何ですから、もしよろしければウチの美術部に来ていただいて、色々と収穫を持って帰っていただくだけでも結構ですので。

  
posted by kazyhazy at 22:43| Comment(2) | TrackBack(0) | 部活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

美術部の顧問(12)美術部に欠けているもの−1

運動部の場合は、練習試合などで勝ったり負けたりする中で「自分たちの頑張り具合」がどれくらいなのかを感じ取ったり、練習改善に生かしたりできるのでしょう。
しかも「強いか強くないか」、「勝てるか勝てないか」の一次元ですから切実です。

美術部の場合は、まず普段から練習試合がありません。
他がどんな事をやっているのかさえ知りません。

「もっとマンガヲタク的な活動をすべきだ。それが普通の美術部だ」
というような意味のことを本気で主張する生徒もかつては居て、
全国を飛び回っている私に「先生は美術部がわかってない」なんてことを幼い顔で言うもんだから
苦笑しながら困ってしまったことがわすれられません。

美術部に欠けているのはある種の「客観性」ではないでしょうか。
狭い世界だけで活動し、手の届く範囲しか見ずに活動する・・・。
吹奏楽部でさえ課題曲の優劣というモノサシがあるのに、美術と来たらジャンルや方向性は無限大。
勝ち負けのような単純な価値観でもない作品の良さの捕らえにくさ。
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そこで昨年は県内美術館と全国展会場(堺)に引率するという例年に加え、他校美術部へ遠征に行きました。熱心なことで知られる、あの魚住東中学校です。
(片道約二時間半の行程です)
教師が美術室であーだこーだ言うより
外に連れて行って、自分の目で見て感じて、判断すればいいと思ったのです。
価値観は多様ですから。

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訪問校の生徒作品を前に、作者と一緒に鑑賞会ができたのは大収穫でした。
腕前ではかないませんが鑑賞は鍛えられている本校生徒。
たっぷり吸収してくれました。

この遠征に参加した生徒の意識が変わったことは言うまでもありません。
「他校の美術室にも、自分たちと同じように頑張っている中学生が居るのだ」
という実感は、やはり実際に行って体感しないといけないようです。

posted by kazyhazy at 01:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 部活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月14日

美術部の顧問(11)信頼して任す

紹介が前後しますが・・・
昨日のエントリーに「部活動の開始時にまるで朝学活のようなのを部長が司会でやっていて、出欠確認や「本日の一年生指導役」確認や連絡事項を伝えるのですが・・・」という文章がありました。

美術部の運営をどうしているか・・・を共有するためにこのシリーズを書いているのに「そう言えば、まだ書いていなかったなあ」と反省です。

人数が40人弱いますので(ひとつの教室では厳しいので)大きいキャンバスやイーゼルを立てて2つの教室に分かれる前に、最初だけ「活動を始めるので集合してください」という部長の合図で全員が第一美術室に集合します。

副部長「出席をとります」と言って全員の名前を読み上げて、各自が返事をします。返事がないときは同じクラスの子が「○○さんは委員会で遅れまーす」とか言いながら確認していきます。
本人が居なくて理由もわからない場合だけ、副部長は「○○さんが確認とれていません」と私に言いに来ます。
それが終わると部長から連絡事項や注意事項が伝えられます。
今の時期だったら「一年生へのアドバイス当番は、今日は○○さんです」なんかもあります。
昨日紹介したイラスト係や、戸締まりや整頓の係から提案が出る場合もあります。
「先生からの連絡」と言われたら私から話をしますが、それが(前に紹介した)ミニ授業になることもあります。
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「まかせること」で生まれる気運もあるようで、まかされると色々と考えてくれるようです。
月例鑑賞会の進行も「対話による鑑賞」を授業でやるように「教師がナビゲートしなきゃ」と考えがちですが、思い切って「ここからは3年生でやってみるか?」と投げてみると、結構しっかり学んでくれます。

本校には、一年生入部前に「仮入部」という名の体験入部の期間があります。過渡期には教師主導でやっていましたが、今年から「変えた方が良いと思う部分もあるとおもうので、相談してみたら?」と水を向けると良い感じに変えてくれました。
(こんなことなら最初から生徒にさせれば良かったと悔やむくらい。)

一日目の仮入部が終わったときも、「3年生は口出しせずに2年生だけで今日のこと話し合ってごらん」というと、3年生からの指示を待ってしまいがちな2年生が、たくましく議論をして2日目の仮入部を改善してくれました。

教師から生徒へ、信用して任す。先輩から後輩へ、信頼して任す。
・・・というラインを大事にしたいですね。

  
posted by kazyhazy at 23:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 部活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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