滋賀県には夏に中学校美術部展があり、頑張った学校には学校奨励賞が送られます。2年前の記事の生徒たちは、県内で断トツの学校奨励賞を得て卒業していきました。
今年も夏を前にして、美術部員たちは頑張って制作を進めています。そして毎月恒例の鑑賞会(互評会)も健在です。

今回の出品担当は3年生。キャンバスの前で作品を見ているのは2年生です。黒板には「表現したかったこと」つまりは主題がひとりひとり書かれています。本校美術部では「コト」で通じます。
「黒板にコトを書いておいて」というだけで分かってくれます。
ワザ・モノ・コトは合言葉ですから、表現力とモチーフと主題を混同しないで意見を言えるようにしていることはすでに書いたと思います。
だから、鑑賞会で意見を言うときも、
「○○な気持ちを表現したい(コト)のならもっとここをこういう風に描かないといけない(ワザ)と思います」という文脈になります。
それはそれでよかったのですが今回はさらに、ちょっとした思いつきを実施することにして3年生たちを「ひょエ〜」と言わしめました(笑)
というのは、この油絵はもう何か月も取り組んでいるので、お互いに「何を表現したいのか」がバレています。そこで何も知らない4月からの新入部員たちを使うことにしました。
メモと筆記具だけ持ってくるように言って、鑑賞会の前日に新入部員たちを引き連れて、3年生が描いている場所を順にまわりました。そこで、作者には何も言わせずに、1年生には「この絵はどんな場面を描いていると思いますか?」「どんな気持ちが伝わってきましたか?」と問いかけます。
一つの作品に対して「場面」と「気持ち」の2つずつメモしてねっとお願いして、3年生作品全てを回りました。
鑑賞会で1年生が「この作品の中ではこういうことが起こっていると思いました」「この作品からは登場人物のこういう気持ちが伝わりました」というたびに、自分の思惑と違う3年生たちはガックリとうなだれるのでした。じっと手を見る。(笑)
顧問による悪魔の奸計はヒットしたようで、いかに独りよがりで描いていたかがわかったようです。
これを見た2年生が「私たちの絵にもやってください」と言ってきたのには驚きましたが、効果のあるやり方だったということでしょうね。
【関連する記事】