2012年04月23日

題材を選定すると言うこと(2)

題材を開発したり、選んだりすることは美術教師の醍醐味でありながらも、一定の授業時間内の世界を丸ごと創り出す難しさもあります。「一次方程式を教える」とか「江戸時代を教える」といった枠内で、いかに上手に教えるかを工夫するレベルではありません。

そういう枠組みや、「教科書通り」というような王道の授業が存在しない中で世界を構築するには、ある種のバランス感覚が必要だと考えます。
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私は個人的には「ニュートラルな状態で考えよう」というスタンスを昔から持っています。どういう事かというと「FineArtとしての美術が好きでたまらない」先生ではなく、ちょっと一歩引いた先生が「美術に興味のない生徒」の感覚で授業を作る・・・みたいなのが良いなあ、なんて考えます。

だから「クロッキー」とか「デッサン」なんて言葉は、めっちゃ専門用語に聞こえます。
生徒の作品を見て「君はもっとここのマチエールを表現しなきゃ」なんてアドバイスするような授業はしたくありません。
公教育の場に相応しい、全ての生徒に必要な美術の授業ってどんなのでしょうか。将来美術系に進学する1%ぐらいの生徒にとってはマチエールもデッサンも必要なのかも知れませんが・・・・。

ニュートラルな題材作りを心掛けていたら、ある実践発表会で同じようなことを言う人に出会いました。東京造形大学の春日明夫先生です。春日先生は、ある中学校教師の実践に対して「もっと題材の一般大衆化を心掛けなきゃ」と指導されていました。
なるほど「一般大衆化」か・・・・。自分が使っている「ニュートラル」と同じ意味だとピンと来ました。

また、小中連携の視点で、かつて小学校におられた先生からこんな話を聞きました。(現在は群馬大におられる郡司明子先生です)
「幼小の題材は、子どもの日常から乖離していない。子どもの今と繋がっていて、育ちに応じてできるようになったことが作品に現れ、作りたいと思ったものが作られている。しかし中学校では美術(fine art)の文脈という遠い世界のものを、いかに生徒に近づけるかで四苦八苦しているように見える」のだそうです。

今日の話題の平衡感覚・・・・なんとなく伝わりましたでしょうか。



posted by kazyhazy at 01:37| Comment(6) | TrackBack(0) | 授業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「美術の興味のない生徒の感覚で作る」とっても大事な事だと思います。
そして、わかっちゃいるけど、ややもすると忘れがちな視点であるとも思います。

またまた、鋭い切り口で切られてしまいました。
自分の授業を「美術に興味のない生徒の感覚」で、常に検証していかなければ…と思います。
Posted by 魚住東中学校のクワムラです。 at 2012年04月23日 21:47
全く同感!!
「「美術に興味のない生徒」の感覚で授業を作る」いいですね。春日先生の言葉にも納得、郡司先生の言葉に、更に納得、なっとく。
この、遠い世界を無理して近づけようとする教員の仕業が、美術嫌いの生徒を増幅させていることに気づかなければね。
Posted by すずきひとし at 2012年04月25日 12:13
Facebookからきました。この記事、本当におっしゃる通りだと思います!自分もそのスタンスで題材を考えているつもりです。
といっても、自分の場合は芸大出身でもなく、学生時代は絵を習っていたわけでもないし、美術部にも所属せず、それほど専門的な感覚で「美術」をとらえたことがないだけなのかもしれませんが…(汗)

「題材の一般大衆化」という考え方を持った先生がおられるというだけで、何か勇気づけられた気がします。(もちろん、専門的な裏付けがあってこその一般大衆化だと思いますが)
Posted by 高槻九中の小林です。 at 2012年04月25日 21:39
クワムラ先生。いつも謙虚ですね。私の方こそクワムラ先生の指導に学ばせてもらっています。最近特にクワムラオーラをまとって授業に臨むことが多いです。
Posted by かじおか at 2012年04月29日 01:26
鈴木先生。ごぶさたです。「納得」という文字が乱舞していますね。同意していただいて心強いです。
Posted by かじおか at 2012年04月29日 01:28
小林先生。私もどっぷりと趣味的に美術にはまり込んでいる人間ではないので同士ですね。
休日に美術館に行くとか、ベレー帽をかぶるとかは一切しません。
Posted by かじおか at 2012年04月29日 01:34
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